「器の中を見たとき、空があると思ったんです。だから鳥を描いて。
描いている間にいろいろな物語が浮かんで、猫や花、生きものたちを描きました。
器の中はひとつの世界なんです」

小さな森から生まれるパッチワークのうつわ

 


愛媛県砥部町にある工房、生石(いくし)窯。
川の土手から続く庭は、西山千代子さん夫妻が石や土を運び、木を植えて育ててきたもの。
今では小さな森のよう。
中には鳥が運んだ種から大きくなった木もあるのだといいます。

「庭いじりが好きなんです。
植物に触れているとリラックスできる。
何かあると庭を歩いています」

そんな日々の中で生まれる西山さんの器は、
パッチワークのように何枚もの粘土を重ねる「はりあわせ」という方法でつくられています。


きっかけは、足りない部分に小さな粘土をつぶして貼ったことでした。

古典にとらわれない自由な絵付け、自分の世界

 

思いがけない線との出会いに
「粘土をさらに足したら、継ぎはぎがおもしろくなって。
頭で考えたというより、手を動かすことで生まれた作品。偶然です」
と西山さんは笑います。


針で描かれる線画のような絵も、はっきりと、でも繊細な線を出したいと手を動かしている間に生まれたもの。

「こうしたい、この方が好き、を続けてきた結果だと思います。
古典的な絵付けも大切にしながら、
だんだん自由になって、自分の世界を見つけたという感じです」


実は西山さんのご主人、そして2人のお子さんもそれぞれ作家として活躍中。

「陶器とガラス。
作風も一人ひとり違いますが、食卓に並ぶと統一感があるとよく言われます。
家族だからでしょうか。」

撮影した写真の一枚を見て、西山さんが言いました。

「窯を持ったとき、丘の上に工房をつくりたいと思っていました。
気が付いたら叶っていましたね」


小さな森のその先、丘の上の工房。
そこでは今日も新しい空が生まれています。

※この取材は2015年に行われました

生石窯
愛媛県伊予郡砥部町北川毛618


 

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