工房をたずねて

岩部保多織本舗

工房をたずねて 岩部保多織本舗

多年を保つ、と書いて「ぼたおり」と読む。丈夫なことで知られる讃岐の織物「保多織」は、江戸時代から伝わる県の伝統的工芸品。
気持ちのいい肌ざわりと、保湿性や吸水性に富んださらりとした質感。木綿の糸が織り成す、素朴な風合いが魅力です。かつては幕府への献上品として作られ、明治維新後は地場産業として発展。現在は県内で唯一の織元となった高松市の「岩部保多織本舗」が、その伝統を受け継いでいます。
4代目の岩部卓雄さんは、県認定の伝統工芸士。使いこんだ織り機に座り、カタンコタンと小気味いいリズムを奏でながら、次々と新しい布を生み出しています。

「一般に平織りというのはね、縦横の糸を1本ずつ交互に織るんだけれど、保多織はこの4本目の糸を浮かせるのね…ほら、こんなふうに」と分かりやすく指を使って説明してくれました。
糸を浮かせることで生まれるわずかな隙間。これが「保多織」のワッフル感の秘密。隙間に空気が入ることで夏はさらりと、冬はあまり冷たさを感じさせない、独特の肌ざわりが生まれるのです。

丁寧に織られた布はシーツなどの寝具、洋服や小物となり、店内をはじめ土産物店のほか、全国の百貨店の催しなどで販売されています。「保多織をもっと広く知って使ってもらいたい」(卓雄さん)との思いから、色や柄も実に豊富。最近は好みのデザインでのイージーオーダーも手がけており、着るほどになじむ風合いにリピーターも多いとか。

店内には織地見本やゆかたの反物もずらり。大きな裁断テーブルや、足踏みミシンもあり、昔ながらの「ものづくりの風景」を垣間見ることができます。ゆったりとした空気感も一緒に織り込まれているような、讃岐の織物「保多織」。蒸し暑いこれからの季節、自分へのご褒美や贈り物としても、喜ばれそうです。

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