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手描き鯉のぼり

手描き鯉のぼり

屋根よ~り~高い鯉のぼり~♪
と歌われた五月の風物詩、鯉のぼりも最近は少子化や住宅事情の変化で、ずいぶんと変化しています。香川県坂出市はその昔、「日本一の鯉のぼり生産地」として知られていました。昭和30年ごろまでは和紙で作られており、土産物として外国への輸出も盛んだったとか。『手描き鯉のぼり・三池』は、その歴史を唯一受け継ぐ製造元。先代の山下信一さんの跡を継ぎ現在、娘婿である三池誠一郎さん(72歳)が制作されています。
 昭和40年代からナイロンプリントによる鯉のぼりが主流になり、和紙の鯉のぼりは全国的にも稀少になりました。「55の手習い」で鯉のぼり作りを始めた三池さんは、「義父の姿を見ているうちに、伝統を絶やすのはもったいない」という気持ちになり、弟子入りを決めたそうです。和紙の弱点は雨。ならば室内でも元気に泳ぐ鯉のぼりを作ろうと、玄関や床の間などに飾れる、小さなサイズの手描き鯉のぼりを考案しました。

最も小さな「ミニミニサイズ」の3匹セットで高さ25cmほど。手のひらにすっぽり収まる大きさの鯉のぼりはかわいらしく、手描きならではのぬくもりが感じられます。青やオレンジを加えた5匹セットや、天井から吊るしたり壁に貼って楽しむ45cmの鯉のぼりもあり、飾るスペースに合わせて選べます。
 三池さんは毎年、2月くらいから制作に取り掛かります。和紙を切って貼り合わせ、そこに鉛筆で下絵を書き、筆やアクリル絵の具で彩色していきます。迷いなく描く線は勢いがあり、最後に目を入れると、まるで鯉に生命が宿ったようです。

鯉のぼりの起源は諸説ありますが、江戸時代、武士の家に男子が生まれると、軒先に旗のぼりを上げたことが始まりとされています。それを見た庶民が立身出世の象徴だった「鯉」を軒先に上げたのだとか。今も昔も、子どもを思う親の気持ちは同じ。「手描き鯉のぼり」の伝統を守りながらも、気がかりなのはこれからのこと。三池さんの跡を継ぐ人は、残念ながら見つかっていないのです。「誰かやってくれる人がおればな」とポツリ。
 五月の節句はもうすぐ。讃岐の伝統工芸を、何とか後世に伝承していきたいものです。

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