工房をたずねて

森本建具店

工房をたずねて 森本建具店

▲正三角形が基本となり、その中を埋めることで、何通りもの模様に。中は皮一枚を残して組むもの。下は3つの組子が交差する高度な技術です。

大工さんが家を建てた後、間仕切りを仕上げるのは建具屋さんの仕事です。日本家屋の中で、動かせるもの(障子、襖、窓、引き違い戸など)は、すべて建具と呼ばれ、細やかな技術が必要とされています。 「江戸時代は、指物と呼ばれ、建具も大工の仕事でした。しかし建具の道具がより専門的に進化するにつれ、指物屋が独立したものになったんです。さらにそこから、家具を得意とする家具職人が現れて、今のような分業制になりました」
そう教えてくれたのは、高松市三谷町で建具店を営む森本隆さん。おじいさんの代から続く、地元の建具屋さんです。
その建具の中で、香川の伝統的工芸品に指定されているものがあります。それが「組手障子」。組手は聞き慣れない言葉ですが、身近な障子の、格子が交わる部分に活かされる技法です。現在のように、質の良い接着剤がなかった時代でも、釘を使わずに木同士を組む方法として用いられてきました。その組手のある凹型のパーツを組子と呼び、組子を一つひとつ組み上げて、麻の葉や菱形などの様々な模様を描き出します。

昨年の11月に木工雑貨などを製造販売する「もの工房」を立ち上げた森本さんと奥さまの理恵さんは、現代のライフスタイルに合わせたものを提案していきたいと考えています。建具自体が減りつつある今、ただ飾られる芸術品のようなものだけでなく、技術をそのまま活かした、木のバッグや文具などを制作中とのこと。また椅子づくりのワークショップなどで子どもたちが木に触れる機会も作っているそうです。

遠くで見るだけだった組手障子も、身近なものに置き換えることで、手軽に使えるようになります。もっと近くで見たり、手で触れることで、そこに秘められている技術を知ることができ、技術や伝統そのものを大切にしていくことにつながるような気がします。「これからも若い職人に呼び掛けて、新しいものを発信できたらと思っています」森本さんご夫妻の活動は、さらに広がりそうです。

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