2020年5月、初めて東かがわ市五名を訪れました。
集まっていたのは老若男女あわせて40名ほど。
あぜ道を走り回る子どもたちを横目に、高校生や大人たちは調査や田植えにいそしみます。

一見ごくふつうの田んぼに見えますが、実はここは貴重な生きものたちの聖地。

「春にはユキモチソウやエビネが咲くんだよ」
「タガメやゲンゴロウがいるんだよ」
目を輝かせながらそう教えてくださったのは、この畑を保全・調査しているGomoyo倶楽部と石田高校の皆さん。

聞けば、この里山には香川県では絶滅危惧種に指定されている動植物がたくさん残っているんだとか。

一昔前まではタガメやゲンゴロウは里山の代名詞的存在でした。
あまりにも身の回りに当たり前にいたため、標本がほとんど残っていないとも言われています。

絶滅危惧種のカワバタモロコやドジョウ、メダカもたくさんいる

諸説あるものの、稲作のサイクルや手法の変化により、
今ではほとんど姿を見かけることがなくなってしまいました。
一時は、香川県では絶滅したとまで考えられていたといいます。

里山とは、『原生的な自然と都市との中間に位置し、集落とそれを取り巻く二次林、それらと混在する農地、ため池、草原などで構成される地域。農林業などに伴うさまざま人間の働きかけを通じて環境が形成・維持されてきた』(環境省)と定義されています。

実は、里山の生きものは古くからの原生林では生息できないものが多いのです。
例えばドジョウ。澄み切った清流では生きていけません。
泥に潜って越冬するため、濁った田んぼ脇の小川やため池が適しています。

他にも、草刈をすることで日当たりがよくなり、あぜ道にキキョウやリンドウが咲く、
竹は放置せずに切り倒し、ザルやカゴの材料にする、
雑木は薪や炭などの燃料にする…

里山を構成する一つひとつの要素すべてがつながって、
暮らしに欠かせないものとして役割を果たしています。

人の手が入ることで生み出された里山ならではの生態系は、
まさに稲作文化の賜物ともいうべきもの。

現在、田んぼでは高校生らによる生きものの調査活動や、
Gomyo倶楽部による生きもの観察会、田植えや稲刈りなどの活動が行われています。

どんな思いで、なぜ、里山を守る活動がスタートしたのか。
ぜひIKUNAS vol.12 本誌をご覧ください。


Gomyo倶楽部のWEBサイトでは、活動状況が随時アップされています。
田んぼの脇には囲炉裏やタンドール窯などもあり、里山の恵みを味わうこともあるようです。
興味のある方は、ぜひ各種イベントに参加してみてください。

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