大学入学とともに上京し、気づいたことがあります。
どうやら世間の人は、四国を小さいと思っている…!
友人から「今度1泊2日で四国をぐるっと周ろうと思うんだけど、どこ行けばいい?」と聞かれるたびに
「それは無理だよ!」と答えてきました。

そう、四国は奥が深いのです。

真っ平な香川にいるとなかなか実感することがないですが、
高知や徳島、愛媛に行くと、驚くような山奥や沿岸にぽつぽつと集落が広がっています。
それぞれの歴史を紡ぎながら、淡々と続けられていく暮らし―。
週末に四国各地を旅し、ふとそんな風景に出会うたびに、人びとの営みに畏敬の念を覚えます。

そうして心に残っている景色の一つが、高知県安芸市の「伊尾木洞」。
「伊尾木洞」へは、のぼりを頼りに小さな公民館の駐車場に車を停めて、洞の入口まで歩くこと数十m。

暗くてひんやりした洞穴を恐る恐る進んでいくと、ぽかっと空が開き、一面の緑が目にまぶしい。
岩間から染み出た水が苔やシダをキラキラと濡らし、足元の小川に降り注ぎます。

シダや竹、マムシグサ…みずみずしく繁茂する植物たちの合間を遡っていくと、
小川は段々と深く澄んだ川となり、ついには迫力ある滝に到着します。
亜熱帯のような植生と潤いに、弾ける生命力を感じしばし深呼吸。

一息ついて、ドドド…と轟く滝の脇道を登り上げると、忽然と田園風景が現れるのです。
桃が満開で、これこそまさに桃源郷だ!と興奮せずにはいられませんでした。
しかも、水を張った田んぼの向こうには、水面が続いているかのように広がる真っ青な太平洋。

南国らしいエネルギーと、脈々とつづく人の営み、そして雄大な風景。
わずかな散策路に一山も二山もハイライトが訪れる、大切にしておきたい夢のような場所です。

(IKUNAS編集 M)