20数年前に、仕事で始めて柏島を訪れた。
以来、そこは僕にとって、毎年訪れる特別な場所となった。

釣りバカ日誌の何話だったかの冒頭で、子どもたちが柏島の海に飛び込むシーンがある。

驚くほど透き通ったその海に心を奪われ、機会があれば絶対に行こうと思っていたのだ。

柏島の海は、小船の影が海底に写るほどに透明度が高く、水の中には色とりどりの魚やサンゴ礁がきらめいていた。


もともと風景を撮るのが好きで、太陽や空気、雲が移ろっていく様子をいつまでも眺めていられる。とりわけ好きなのが朝焼けで、周りが目覚めていない非日常感は特別なものだ。

最近では柏島を中心に、足摺岬や宿毛(すくも)、愛南へ足を延ばすこともある。
撮影地まで往復する時間も惜しいため、宿は取らずに車中泊することがほとんど。
このあたりの月は、水面に照り返され一際明るく輝きを放つのが印象的だ。

太平洋は、やはり雄大だ。
何度行っても、いつも「わぁっ」と感嘆が漏れる。

あの海に憧れがあるのだと思う。
黒い大岩が累々と転がる海岸の景色は瀬戸内海にはないもので、
別世界に来たように錯覚する。

一度、腰を据えて長く滞在してみたい。

今年ももうすぐ、柏島に行こうと思う。

 

写真・文  中村政秀(カメラマン)

1967年⾹川県⾼松市⽣まれ。
東京写真専⾨学校卒業後、東京、神⼾のスタジオなどを経て独⽴。仕事では主に広告写真、建築写真、web、雑誌などの撮影を中⼼に活動中。プライベートでは瀬⼾内の⾵⼟をテーマに撮影に取り組む。