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たくさんの本と竹に囲まれた、三木町の工房を訪ねた。静かで澄んだ空気の中、お気に入りだという保多織の服をまとった西村さんの手に合わせ、シュッシュッと小気味よい彫刻刀の音が響く。

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さぬき竹一刀彫の継承者として、県内でも唯一の存在となった西村秋峯さんは今秋、厚生省が認定する「現代の名工」に認定された。全国的にみても竹細工の職人や産地は多いが、竹彫り師というのはとても稀だ。貴重な技術を持つ職人であるだけでなく、地域の人にもその技術を惜しみなく伝え、伝承に努めている。
そんな西村さんが、竹彫の道に入ったのはなんと38歳の時。先代の父親のもとで、中学生の頃から技術を磨いたが、長らくサラリーマンと2足の草鞋を履いていたという。

編集部:竹彫りのどんなところが魅力だと思いますか?
西村さん:竹は硬い。だからこそ細い線、太い線と彫り分けることができて、表現の幅が広いところかな。

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編集部:どんなものを彫るのが得意なんですか?
西村さん:仏像を彫ること。指先などなかなか気づかれないようなところまで、気を配りながら彫ると美しい仕上がりになる。

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編集部:使い手に知ってほしいこと、伝えたいことはありますか?
西村さん:竹彫りは法隆寺の所蔵物の中に含まれているほど、古くから受け継がれてきた技術です。そういう伝統のあるものを残したいという一心で、彫っています。

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伝統的なものは今、どんどんなくなりつつありますが、例えば着物につける「根付」は、洋装化とともに需要が減ってきましたが、近年また美術品として息を吹き返している。竹一刀彫りも道具としてだけでなく、「美」としての価値を残していきたい。

編集部:生まれ変わったら何になりたいですか?
西村さん:また竹彫りの道を歩むと思う。まだまだ到達できでないし、極められてない。
今回の人生では習得できないような技術の彫りがまだあるから。

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編集部:西村さんにとって人生に欠かせないものは?
西村さん:彫刻刀と健康な体。彫るアイデアが詰まった資料。
編集部:竹以外のものを彫ってみたいと思ったことは?
西村さん:自分は職人の道に進むと決めてから、全国の竹彫り職人を訪ねて歩いた。その頃から後継者がみんないなくて、このまま廃れさせてはいけないという使命感でやってきた。だから、竹以外のものを彫ろうと思ったことは一度もない。いくら世の中の技術が進んでも、日本のものづくりのDNAは無くしたくないね。
編集部:そうですね!ありがとうございました。