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その昔、大工の棟梁といえば地域の「顔」であり、納め役だったそうだ。まだ住宅メーカーがなかった時代には棟梁が家の図面を引き、大工や左官など職人集団をまとめていた。棟上げには地域の人たちがたくさん参加し、完成時にはともに工事の無事を祝う。同じ地域に同じ棟梁が手がけた家々もたくさんあっただろう。そんな古きよき地域の「人」の繋がりは、「家を買う」時代になってから少しずつ薄れてきた。
高松市の高陽建設㈱では、昔ながらの伝統工法をベースに現代の生活スタイルに合う、デザイン性の高い家づくりに取り組んでいる。

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「時代が変わっても変わらないものがある。何だかわかりますか?やっぱり人なんです。いい職人が育たないといい家はつくれない」と西尾直樹社長は言う。
大工や左官などの職人は、どんどん高齢化が進んでいる。なりたい若者がいても、昔ながらの徒弟制度が合わず、やめてしまう人も少なくないそうだ。
高陽建設では今春から、大工を養成する「かがわ技塾」を立ち上げた。家づくりの「知識」を現場の「経験」とともに身につけることで大工の資質向上をめざす。

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塾生は現在、同社の新入社員である8名。うち2人は女性でそのうち1人は設計志望だという。「現場を知らないと、いい設計はできないよ」。社長自ら指導にあたり、時には外部講師を招き、毎週月曜日に授業を行う。

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和気あいあいとした雰囲気ながら、どの顔も真剣。「職人」への道を踏み出している。

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「現場は仕事をするところ。勉強をするところじゃない!」「技は見て学べ」。ひと昔前ならそんな言葉が聞こえてきそうだが、時代は変わっている。一見、非効率ともいえるやり方かもしれないが、西尾社長は若い職人たちに、ありし日の「棟梁」の姿を夢見ている。未来の「棟梁」たちはどんな家を建てるのだろう。